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『クレーム・クレーマーへの対応・対策大全』は、経営の大切な資源であるクレーム、苦情、クレーマーをよく理解し、顧客満足度、従業員満足度の向上を目指します!クレーム・クレーマーに対応し、どのように対策したらいいのかを探究する人のためのサイトの決定版です。クレーム、苦情、クレーマーにかかわるすべてのスタッフのために役立つ情報を提供します。

「クレーム・ストレスの軽減」と「顧客満足」は両立するか

クレームからのストレス軽減法の顧客満足への悪影響

「クレームからのストレスの回避法『Over-Conforming』」「クレームからのストレスの回避法『接触抑制』」とクレーム担当者のストレスを軽減するための方法を説明してきましたが、これらの対応をすることで、会社や店のクレーム対応サービスはどのような影響を受けるのでしょうか?

言うまでもなく、あまりよい影響は与えません。

お客様の立場から言えば、クレーム対応にして、きわめて消極的な態度、もしくは横暴な態度をとっていると受け取られてしまいます。そのように受け止められたら、お客様がもたらす経営情報としての苦情やクレームが集まらなくなります。会社や店が、お客様が持っているニーズ(needs)やウォンツ(wants)を把握できなくなるということです。

また、横暴で、冷淡なクレーム対応を前に、お客様も「対処」するようになります。このような稚拙なクレーム対応しかできない会社や店から逃げていってしまうのです。

反対に、クレーム担当者がストレス軽減をすることで、会社や店には「官僚的な気風」が満ちてしまいます。マニュアル対応、機械的な処理が行われることで、クレーム対応のみならず、会社や店のサービス全体が硬直化して、競争力を失ってしまうことでしょう。

このように、クレーム担当者が自分の精神的な健康状態を守ろうとして自主努力をした結果、お客様にも会社や店にも悪い結果をもたらすことになるのです。

では、どうしたらいいのでしょうか。

やはり、組織としてクレーム担当者のメンタルヘルスに関する対策をしっかりと整備していく必要があるでしょう。具体的には、

(1)適材適所
(2)教育訓練
(3)エンパワメント(権限委譲)
(4)組織全体で共有

といったものが考えられます。次回以降、この組織的なクレーム担当者メンタルヘルス対策を取り上げます。

クレームからのストレスの回避法「接触抑制」

クレームからクレーム担当者が受けるストレスをどのように小さくできるか?

前回の「クレームからのストレスの回避法『Over-Conforming』」では、クレーム担当者が会社や店、もしくはお客様・顧客のどちらか一方に精神的に一体化してしまえば、ストレスが小さくなるという考え方を説明しました。

今回は「接触抑制」という考え方でクレームからのストレスを小さくする方法を説明します。

接触抑制とは、お客様・顧客との接触を避けることで、ストレスを小さくしていこうという考え方です。Shamirtという研究者はイスラエルのバス運転手を研究した結果、次のようなことを結論付けました。イスラエルのバス運転手は最も理想的な乗客を「パレスチナ人」だと答えたといいます。これはイスラエルとパレスチナの紛争が何十年にも渡って続いており、互いに憎しみあっているという一般的な見方とはまったく反対の答えだと思いませんか?

敵ともいえるパレスチナ人を「上客」だと答えたイスラエル人バス運転手に気持ちは何なのでしょうか?

理由は「パレスチナ人の乗客は料金を支払い、運転手を見ることなく、すぐに座席に座る」「バスを降りるときもさっさと降りていってしまう。」という接触の少なさでした。

パレスチナ人は自分たちの土地を侵略し、占拠し続ける敵イスラエル人と話もしたくなければ、イスラエル人である運転手などいないかのように振舞いたいのでしょう。イスラエル人がいるだけで不愉快になるのですから。

しかし、イスラエル人の運転手の側から言えば、「乗客との接触が必要ない」ということで、パレスチナ人はいい乗客なのです。

このことはどれだけスタッフにとってお客様・顧客との接触がストレスになっているかを表す結果だといえるでしょう。

クレーム担当者にとっても、できる限りクレーマー、もっと言えば、お客様との接触を減らせたら、どれだけストレスが少なくなることでしょう。

また、接触抑制の行動は「責任転嫁」という形でも現れてきます。「それは私の役割ではない」「私には権限がありません」ということで、お客様やクレーマーからの接触を断ち切ることができるからです。自分には権限がないことを理由に、上司や他のスタッフにお客・クレーマーとの接触の役割を転嫁してしまうという行動をとるのです。

このように、お客様やクレーマーとの接触を抑制することでストレスは小さくなっていくという考え方なのですが、クレーム対応のケースを考えると、クレームや苦情は否応なしに舞い込んでくるものです。接触したくないと思っても、勝手にやってきます。また、「私には権限がない」という責任転嫁も「クレーム担当者」として任命されている人にとっては無理でしょう。

クレーム担当者は「絶対に」接触をとらざるを得ないのです。

しかし、クレーム苦情に対して、「機械的な対応を取る」ことで接触を抑制するという方法があるのです。クレームや苦情をもたらすお客様を「生身の人間だと思う」から感情が発声するのであり、機械的に処理していけば、ストレスも生まれないだろうと考えて、マニュアルどおり、機械的に処理していくことで接触を抑制するのです。

Mizrahiという研究者は医者のストレス回避方法を研究して、その結果、医者は患者からのストレスを軽減させるために「機械的な対応」を取っていると結論付けました。

ストレス回避のために医者は、患者の名前を言わず、病名で呼んだり、患者には理解できない専門用語をわざと使い、視線を合わせないようにしたり、はたまた、患者から質問を受けたり、いらない会話をしないようにそっけなく対応するというのです。

機械的な対応を、冷淡にこなしていくという方法で、クレーマーとの接触の機会を少なくすることで、クレーム担当者のストレスを小さくしていくことができるといえます。

このような接触抑制の考え方はスタッフ側に立ったものです。反対にお客様の立場になって見ましょう。接触をしないように、目をあわさず、専門用語ばかり使い、対応は機械的。このようなクレーム担当者がいたとしたら、どんなに不愉快でしょうか。

確かにストレスは小さくなるかもしれませんが、顧客満足は得られません。できる限り、接触抑制の考え方を取り入れないほうが顧客満足にはつながるでしょう。しかし、クレーマーからのストレスを少しでも減らしたいというならば、クレーム処理の先々を読んで、クレーム対応における「リーダーシップ」をとってしまうという方法がいいでしょう。

実はこの「リーダーシップをとる」という方法も接触抑制の一つなのです。

クレーム処理のリーダーシップをとって、お客様の要求の先手先手を取るなら、お客様も不満は持たないでしょうし、余計な接触をしなくてすむ可能性が高いでしょう。

クレーマー対応・クレーム対策、苦情処理のプロになるためには「クレーム処理のリーダーシップ」をとることで、ストレスを軽減しましょう。


クレームからのストレスの回避法「Over-Conforming」

クレームクレーマー担当者は、「会社や店、上司からの要求・命令」と「お客様・顧客からの要求」という2つの矛盾した要求の間で、高いストレス状態におかれます。クレーマー対応クレーム対策、苦情処理の担当者に必要な能力として、「ストレス耐性が高いこと」が挙げられます。

しかし、単に「ストレス耐性が高い」といっても、そのような耐性がある人材が必ず会社やお店に都合よくいるわけもありません。普通の人でも、最低限、クレーム対応から受けるストレスを小さくし、業務を遂行できるように努力する必要があります。そのようなストレス対処をどのように教育していくか、それは会社やお店の責任でしょう。

ストレスを小さくするための方法として最も一般的な考え方が「Over-Conforming」というものです。

これは「会社・店への同調」です。クレームを受けるときにスタッフが陥る「お客様と会社・店との間に立って、矛盾した問題を解決しなければならない」という精神状況がストレスになるのだという考え方です。「お客様の苦情ももっともだ」「しかし、会社のマニュアルではお客様の要求される解決策はできない」という状況ですね。

このような矛盾状態にあるからストレスになるのだとしたら、いっそのことどちらかに一体化することで自己正当化してしまおうという対策なのです。これを「過剰な同調(over-conforming)といいます。

会社や店と一体化して、お客様の立場や状況を考えることなく、クレームを処理していくということになります。結果的に、組織内のマニュアルや手続き、前例などを何よりも優先し、お客様の事情や会社や店の過失などは過小評価してしまいがちになります。

また、苦情やクレームはそもそも「重要な経営情報」であり、会社や店のサービスや商品を改善する重要な手がかりになるものです。しかし、会社や店に一体化したスタッフが対応すると、この重要な経営情報が正確に取得できなくなります。

お客様の苦情やクレームを過小評価することで、ニーズを汲み取る気持ちが消え、お役所仕事のような「サービスとはかけ離れた」サービスを提供することになります。

では、反対にお客様に同調して、お客様と一体化することでストレスを軽減できないものでしょうか。お客様からの好意を受けることに至上の喜びを感じる。なんとなくですが、理想的なスタッフのような気がします。日本の伝統的なサービス精神「お客様は神様です」に近いものですね。

Shamirtが行ったバス業界の研究によると、お客様が最も高い満足度を感じるのは「会社の規律に反してでも、お客様の要求に従ったとき」だそうです。それは常識的に納得できる結果です。お客様としては、会社の規律を破っても自分のニーズに従ってくれるスタッフに満足したでしょう。

反面、各スタッフがお客様の立場に立って対処したら、会社や店は崩壊してしまいます。その上、スタッフによって受け入れる対処のレベルが異なるため、お客様に不公平感が生じることもあります。

このように、会社や店、お客様のどちらかに一体化してストレスを減少させようとすると、どちらも問題が生じることがわかります。

そこで、常識的に対応できる、比較的小規模な苦情やクレームには「お客様に同調・一体化」して、重大なクレーム・苦情の場合には「会社・店に同調・一体化」するという対応が好ましいでしょう。

軽微なクレームであれば、スタッフが判断してお客様に有利な対応をしても、それほど大きな損害は出ません。お客様としては十分満足していただける対応になります。

重大なクレームであれば、会社や店の立場に立って、マニュアルや手順を守ることが必要になります。もし、お客様の立場に立って対応すれば、会社や店に大きな損害を与えることになるかもしれないからです。

スタッフへのエンパワメント(権限委譲)

あなたの会社、店でクレーマー対応・クレーム対応のシステムを構築していく際には、まず「クレーム担当者」を決めておきましょうと、「クレーム対応・クレーマー対策はリーダーの仕事」で説明しました。

会社・店を一人で運営されているなら、その方がクレーム担当者もしなければならないのは当たり前ですが、従業員が複数人いる場合にはクレームの担当者以外にも、すべてのスタッフが最低限、クレームや苦情に対応できる能力・ノウハウをつけることが必要です。
クレーム対応・クレーマー対策はリーダーの仕事」で説明した内容と反対の内容になってしまいますが、クレーム担当者とスタッフ一人ひとりができるクレーム対応とはまったく違うもので、この2つの機能がうまく組み合わさって顧客満足のクレーム対応・苦情処理ができるのです。

クレーム担当者は、クレームの最前線に立つ、責任者です。どのようなクレーマーにも、クレーム、苦情にも対応しなければいけませんし、最終的な責任をとることになります。

一方、すべてのスタッフが果たす役割は、常識的なクレーム苦情に迅速に対応し、商品やサービスに不満を持たれているお客様に満足してもらうことなのです。

よく考えて見ましょう。クレーム苦情といっても、日々、会社や店に持ち込まれるこれらの情報は多くが常識的に対応できるものばかりです。「商品が壊れていた」「賞味期限が過ぎていた」「サービスが悪かった」など、あなたの会社や店の商品サービスを改善する必要があることを示してくれる大切な情報なのです。

そして、これらのクレーム・苦情への対応・解決は、それほど難しいものではありません。しっかりと謝罪し、解決の提案をして受け入れてもらい、今後も会社や店の常連客になってもらうように、顧客満足を持ってもらうということです。

このような「普通のクレーム」に適切に対応するためには、「迅速に処理する」ことが重要になります。クレーム担当者に取り次ぎ、時間をかけて処理することは、お客様にとって望ましいことではありません。お客様としても、それほど気分を害していないならば、早く処理してもらいたいと思っているに違いないからです。

よほど、大きな金額の商品サービスを交換したり、返金したりするのでなければ、現場のスタッフが判断できるようにしておいたほうがいいのです。すべてのスタッフが一定のクレーム処理の判断ができるなら、できる限り現場スタッフにクレーム解決のための権限を委譲しておきましょう。

そうすれば、お客様の気分を害することなく、クレーム問題を解決し、お客様に満足していただけることでしょう。

ここで問題となるのが、どこまでが「常識的なクレーム」でどこからが「クレーム担当者が対応するべきクレーム」なのかを定義するかです。そして、現場のスタッフが対応するためのマニュアル化ができるかです。

これは最終的にクレーム担当者が策定していく必要があることでしょう。会社・店の種類などによって、寄せられるクレーム・苦情の質が異なりますから、一概に「こうしたらいい」というような一般的な判断基準はありません。そのため、クレーム担当者が経験を蓄積し、どのようなクレーム・苦情は現場スタッフが独自に判断してよいのかを定義し、その対応手順をマニュアル化していくことになります。

このように定義やマニュアルが整備されることで、現場のスタッフにクレーム処理の権限委譲がされ、より迅速なクレーム処理ができるようになります。

クレームの迅速な処理はお客様に会社や店に対する信用を高めることになります。単に、厳正に対応するばかりがクレーム対策・クレーマー対応ではないのです。

クレーム対応・クレーマー対策はリーダーの仕事

食品表示偽装が横行し、消費者保護が政策的にも重視され始めている現在、小さな企業や店でも、クレーム対応・クレーマー対策をしっかりと確立していかなければならなくなっています。

クレーム対応、クレーマー対策は顧客満足の基本にあるものです。どのような状況にも対応できるクレーマー・クレームマネジメントの体制を整えましょう。ここでは基本的にコンサルタントや外注をしなくてもいい、手作りなクレーマー・クレームマネジメントの方法を考えましょう。


第一に、クレーム、クレーマーを適切にマネジメントするための「担当者」を作る必要があります。

クレームがきたときにはじめて「誰が対応するんだ?」と右往左往するのは禁物です。基本的にクレームや苦情を処理するためには心の準備ができていなければ、お客様に失礼な対応をしてしまうからです。

常にクレームや苦情を受け止める心の準備ができているスタッフを定めておく必要があります。さらに、クレームや苦情の解決プロセスは短いものばかりではありません。中期長期的にお客様と一緒に解決向けて努力する必要がある場合もあり、そのたびに担当スタッフがコロコロと変わってしまっては、お客様に不快感を与えてしまいます。

このような理由から、「クレーム・クレーマー対応の担当者」を決めておきましょう。ここで前提となっているのが小さな企業や店ですから、社長や経営者、店長、重役が担当するのが一番いいでしょう。

お客様にとって、最高責任者、現場のトップが対応してくれるというのはとても満足感を与えるからです。クレームを寄せてくださるお客様は「お客様には特別に対応しております」というスペシャル感に弱いといわれています。

リーダーである人が、自らがクレームや苦情を受け止める。それは容易いことではありません。ストレスもあるかもしれません。しかし、リーダーの懸命な背中を見て、他のスタッフは信頼を寄せ、会社や店のチームワークは高まるでしょう。このように、リーダーがクレーム、クレーマーに対応することは組織内部に大きな副次的効果をもたらしてくれるのです。


そして、何よりも社長や店長がクレーム対応をするべきという最大の理由は、「ノウハウの蓄積を独占する」というものです。

クレームや苦情は何より経営上の最大の資源です。そこには金脈が眠っているのです。どんな不満があるのかを把握して、商売に生かしていくことができるのです。この大切な役割を従業員に任していてはよい経営者にはなれません。

クレーム、苦情から得られる経営情報を独占し、さらに経営の拡大に向けて勉強していくこと、それが社長、店長にとってのクレーム・クレーマー対応なのです。


第二に、クレーム対応・クレーマー対策にどのような手続きで望むのかという基本的なマニュアルを作成します。

先ほど、クレームを寄せるお客様は「スペシャル感」に弱いといいましたが、それは個別のケースごとに別の対応をするということではありません。あくまで、クレームへの対応は「フォーマット」に基づいたものでなければいけません。それこそ、モンスタークレーマー的な人がやってきたときに、なし崩しに要求を受け入れるような結果になるかもしれません。

毅然と対応するためにも、クレーム対応の手順、基準は定めておきましょう。マニュアルを店の開店の最初の日から作ることは無理です。経営を続けていく中で、クレーム対応の担当をしている店長や社長などリーダーが経験していくことで作られていくのです。

そのためにも、クレーム対応の担当者は記録をしっかりとしていく必要があります。いつ、どのようなクレームが寄せられ、誰が対応し、どのような解決策をとったのか。クレームの再発防止に向けて、サービスや商品をどのように改善したのか。これらをしっかりと記録し、後で本格的なマニュアルを作成するために参考となるようにします。

その際には、必ずクレーム処理の成功パタンを作り上げることが大切です。どのように対応したら、お客様が満足し、迅速に解決にたどり着けたか。手続きとスケジュールを作るようにしましょう。



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